- ❖熱帯諸国における林野行政と森林政策実施過程
- ❖自然資源・生物多様性・エコシステムの保全におけるコミュニティへの権限委譲など非従来型手法の有効性
- ❖熱帯農山村における資源利用と生業
森林科学、環境政策・環境社会システム、地域研究
森林政策、自然資源管理、生物多様性保全、制度、ガバナンス、住民生計
多くの熱帯諸国で、森林減少および生物多様性の消失という問題が存在し続けています。昨今、気候変動緩和において森林保全の果たし得る役割が重要視されるにつれ、熱帯林の持続的管理の実現には、かつてない注目が集まっていると言えます。
熱帯林の管理には、制度的、社会経済的、そして政治的な要因が複雑に影響します。それゆえ、問題の把握には、生態学的・技術的な観点からだけでなく、社会科学的な視点が不可欠となります。
私はこれまで、インドネシアとインドの農山村部でフィールドワークを行い、住民がどのような森林利用を行っているか、また、政府の設計する施策が村落レベルでどのように実施されているかを分析してきました。博士論文でテーマとした中部インドの政府−住民間での国有林の共同管理プログラムについては、森林資源に対する権限の住民組織への委譲により、住民の資源に対する所有意識を向上させ、また、利益の配分を保証し、持続的管理の契機を高める制度設計となっているが、実際には政府によるトップダウンの実施となりその意義が活かされていないこと、また、村人の森林保全活動への動機付けは、物質的利益の供与によって主に試みられており、必ずしも森林保全と有効にリンクしていないことを指摘しました。
本学では、グローバル教養の一環として、アジア発展途上国・新興国での経験を元に、持続可能な開発のための教育に取り組みたいと思います。発展途上国・新興国での開発と環境に係る問題、また、発展途上国・新興国と先進国のグローバルレベルでの様々な結びつきの事例を通して、持続可能な社会に向けたグローバルな動向を理解できる人材の育成に貢献したいと考えています。
その一環として、森林・生物多様性の保全や気候変動対策に係る国際的な取組み・研究動向について、引き続き調査を実施していきたいと考えています。